ゴールデンウィークに開催された第0回まるネコ堂芸術祭。 コロナの影響で急遽オンラインとなったり色々ありましたが、
今度は秋に、第0.5回と少し進んで、開催されることになりました。
出展者の顔ぶれも少し変わっています。
よければまるネコ堂のHPをご覧ください。
私はトリです。楽しみたいです。
忙しすぎてまだ何の準備も出来ていませんが面白い予定です(笑
他の人の発表もとても面白い予感です。
今回もすべてオンライン開催なので、zoomで視聴が可能です。
見たい方は山本(yamamotoasuka38@gmail.com)または
まるネコ堂に連絡していただければ、視聴のためのURLをお伝えします。
ご興味ある方は是非どうぞ。
以下、出展にあたって書いた意気込みです。
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まるネコ堂芸術祭 第0.5回 第1回に向けて
レクチャーコンサートをアップデートしたい。
ゴールデンウィークにやった第0回でも同じことを考えていて、
少し冒険も試みたけどうまくいったとはなかなか言い難かった。
レクチャーコンサートの根本にあるのは、井上直幸さんのDVDだ。
それを見て、受けた衝撃。突如として世界が開かれた体験。
全く同じことをやりたいわけではなく、私は私のやり方で、
その衝撃を、楽しさを、音楽の世界の奥深さを伝えられる方法を模索している。
今までレクチャーでやってきたのは、主に楽譜を一緒に読むということだった。
一曲まるまる、一緒に読む。それから演奏を聞いてもらう。
そうすると、読まずに聞いた時より細部が鮮明に感じられる。
聞こえなかった音が聞こえてくる。
作曲者が伝えようとした音楽が、より伝わる、気がする。
でも少し、物足りなさも感じるようになっていた。「体」が抜け落ちている。
演奏する楽しさ、指や腕が運動する楽しさ、タッチと音色、
そこの面白さももっと伝えたいと思うようになった。
少し話が飛ぶが、私は大学の頃から、ピアノを続けるにあたって考え続けている問いが
いくつかある。それは数年のスパンを経て変わっていて、最初は「音楽とは何か?」を
ずっと考えていたが、今は「ピアノを弾くってどういうこと?」を考えている。
HPのコラムにひっそりと連載していて、不定期に、かなり気まぐれに更新している。
この考える癖は昔からのもので、思えば小学生の頃から「私とは何か?」と
考えているような子どもだった。単純にわからなかった。
他の人は考えなくてもスルーできているようなことに躓いて、
そこになんらかの答えを出さなければ生きることが虚しかった。
問いは生活にピッタリと張りついていて、緩やかに逼迫していた。
永井均さんの「子どものための哲学」を読んだ時、初めて
「私と同じことを考えている人がいた!」と思って嬉しかったのを覚えている。
哲学というものは、0を1にはしない。マイナスを0にするだけだ。
して何になるわけでもない。ただ、普通は疑問に思わないことを
どうしても疑問に思ってしまう人が、そこに答えを出すことによって
問いをスルーできるようになる、普通の人と同じラインに立てるだけのことだ
という説明にとても納得した。
「ピアノを弾くってどういうこと?」という問いも、同じ類だと思う。
問わない人にとっては無用のものだ。
多くのピアノを弾く人達はきっとスルーできている。
考えたところで何の役にも立たない。しかしマイナスから0になるために、
私はなにかしらの答えを出さなければならない。
そしてこの問いを生きることは、実はこの上なく面白い。
そんなことで、第0.5回、第1回の芸術祭は
「ピアノを弾くってどういうこと?」という問いから始めてみたい。
それがレクチャーで足りないと思う体の話にもなると思うからだ。
どんな形になるかわからないが、幸い、芸術祭では実験的な発表が推奨されている。
誰かにとって面白いかどうかはわからない。
でも10ヶ月間問いに取り組めることは、私にとってはこの上ない喜びだ。
そして結果として、私にとっての「ピアノを弾く」ということが
他人に説明できる程の形になるのだとしたら、こんなに嬉しいことはない。
山本明日香