モーツァルト、ベートーヴェンときて、第三回はシューベルトです。
毎回、しがない町のピアノの先生の私が大作曲家のソナタについて色々喋るなんて、
いいんだろうかとおっかなびっくりしながらやっていますが、2回やってちょっと慣れてきたのと、
色々感想を頂いて「また来ます」と言ってくれる方が居ることに背中を押され、第三回も開催します。
モーツァルトのソナタ、ベートーヴェンのソナタの後、せっかくソナタをしてきたから
次もソナタでいこうと思い、シューベルトのソナタ第13番 D664 をすることにしました。
シューベルトというと、「シューベルトをシューベルトらしく弾くのは難しい」と
井上直幸さんが語っていたのを思い出します。
独特のリズムのゆらぎ、自然の風や雲やそういった景色が移ろいゆくさまや
たくさんの歌、息の長いフレーズ…
シューベルトにはシューベルトが見ていた世界があります。
こういう話は、クラシックを好きでよく聴く方や、日々曲に触れている演奏家なら
すぐに頷いてくれることと思いますが、普段触れていない方にはなんのこっちゃかも知れません。
ベートーヴェンにはベートーヴェンの p(ピアノ)があり、
シューベルトにはシューベルトの p(ピアノ)がある。
それは例えば、普段大きな声で話す人の「小声」と小さい声で話す人の「小声」が違っているように、
同じ言葉、同じ記号でも、人によって想起される感覚が異なっているということ。
p は記号的には「小さく」という意味ですが、それが書かれた背景や意味を紐解いていくことで、
作曲者が想定していた音楽、もしくはまさに"この"楽譜に書かれている音楽を
手の中に掴むことができたら。
これ以上面白いこと、幸せなことはこの世界にないんじゃないかと思います。
次回も、来てくれた方にポカーンとされながら(笑)、楽譜から見えるシューベルトの世界を、
時間いっぱい喋ります!
=== 【日 程】
2019年7月15 日(月・祝)14時~16時
【解説・演奏】
山本明日香(ピアノ)
【内 容】
シューベルトから一曲を選び、その楽譜を深く読み込んで具体的な詳しい解説(約60分)を行ったあと、その曲を演奏します。演奏のみのコンサートと異なり、レクチャーを受けることで、作曲家や演奏家がやり取りしている世界の中で曲をより深く聴くことができるようになります。
【場 所】
SAKURAGAWA PIANO ROOM(大阪市、最寄駅・地下鉄桜川駅) ※詳しい住所はお申込後、返信でお伝えします。
【参加費】
3,800円
【定 員】
6人程度
【主 催】
山本明日香・大谷隆
【お申込】
marunekodo@gmail.com(大谷)か
yamamotoasuka38@gmail.com(山本)まで。
【山本明日香プロフィール】 1989年生まれ。群馬県出身、大阪市在住。A型、魚座。東京学芸大学G類ピアノ科修了。大学卒業後大阪に移住。2011年、自宅にてピアノを教え始める。現在、自宅の他にソフィア音楽教室(奈良)と精神科のデイケアセンター(兵庫)にてピアノを教える。2015年10月にSAKURAGAWA PIANO ROOMを立ち上げ、「誰でもわかる 楽しいレッスン」をモットーに、毎月20名以上の指導にあたっている。
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【主催大谷隆よりご案内】
「シューマンはこんな喋り方しない」
ピアノを前にして、実際にフレーズを弾き比べながら、まるでさっきまで一緒にいて語り合っていたかのように、有名作曲家のことを口にする明日香さん。それも割と親密な関係の。
「モーツァルトが好きな言い回しは、」
モチーフや展開ではなく、言い回しという言い方から滲み出てくる楽譜を読むという体験の一端。
クラシックピアノの演奏家は、曲を演奏するためにいったいどんなことをやっているのか。どんなことが起こっているのか。というのは知っているようで知らないことでした。
演奏者が楽譜をどう読み、どう演奏として実現させているのか。言い換えると、楽譜を通して作曲家はいったいどんなふうに話しかけてくるのか。それに演奏者としてどう応えるのか。そんな作曲家と演奏者との濃密なやり取りの世界に、僕たちも連れて行ってもらえれば、果たして曲はどう聴こえてくるのか。
レクチャー(講義)の語源は、ラテン語の「読むこと」。フランス語ではレクチュールです。楽譜を読み(レクチュール)、それを話す(レクチャー)コンサートという意味でタイトルをつけました。
2時間のプログラムで演奏されるのはたった一曲。
それも、自分自身で詳細かつ具体的な説明をした上での演奏という、演奏者には大きな負担がかかるコンサートですが、聴く方にとっては、とても贅沢で、特別な体験になるはずです。