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子どものための素敵な小曲 No.16〜No.20


すっかりご無沙汰してしまいました。

夏の発表会や、色々な予定が重なってしまったため

久しぶりの更新です。

今回はちょっと変わり種…というか

色々なタイプの曲を集めてみました。

知っている曲も知らない曲も、是非一度聴いていただけたらと思いますm(_ _)m

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No.16は、サティのグノシエンヌ第1番です。

先生目線で言えば、あえてこの曲を生徒に与えることはしない気がしますが、

技術的には小さな子でも意外と弾けてしまう、簡単な曲です。

しかしこの曲、色々謎があります。

曲中の書き込みに、「思考の隅で…あなた自身を頼りに…舌にのせて」など演奏者への注意ととるには奇妙な言葉が書かれています。

また、「グノシエンヌ」というのはギリシア語で、「知る」という意味の動詞(Γνωρίστε:発音は "Gnoríste" グノリステ)の語幹をもとにして作ったサティの造語だそうで、これもちょっと謎。

また、この曲には小節線と拍子記号がありません。そしてLent(遅く)の指示…。いきなり現れるフォルテ。弾いているうちになんとなーくわかるような気もしますが、なんというかこう、サティって変なおじさんだな、と思います(笑

昔、トリビアの泉というTV番組がありましたが(懐かしい)、そこでサティの「ヴェクサシオン」を演奏するという試みが行われて、サティの指示通り840回繰り返しを行い、演奏終了まで18時間以上かかったというのを見たことがあります。ちなみに「ヴェクサシオン」の意味は、「嫌がらせ」。

他にも、「犬のためのぶよぶよとした前奏曲」や「犬のためのぶよぶよとした本当の前奏曲」もあります。笑ったのは、「はた迷惑な微罪」の中の1曲目が「大頭の友達という存在をやっかむ」、2曲目が「彼のジャム付きパンを失敬する食べ方」、3曲目が「輪回し遊びの輪をこっちのものにするために、彼の足の魚の目を利用すること」!なんというタイトル!(笑

本当に、それまでの音楽の枠を、懸命に壊そうとした人だったんだろうなと感じます。頑張ってベートーヴェンやショパンなどの大曲に取り組んでいる時に、ふっと気が向いてサティに触れたりすると、大真面目にふざけたり急に哲学的なことを言ってみたりするサティの身近さに、ちょっとほっとする時があったりします。

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No.17は、グリーグの抒情小曲集より、夜警の歌。

小3か小4くらいの時に弾いた思い出の曲です。

ペータース版には「シェイクスピアの『マクベス』から霊感を受けて」と記されています。マクベスには詳しくないですが、曲の最初は日が暮れて夜に包まれていく感じ、中間部の曲調が変わるところは「夜の精たち」と題され、何かの蠢きと夜警のラッパが鳴り響き、さながら舞台の一場面を見ているよう。

抒情小曲集とはまさに名の通りという感じで、グリーグのもつ多彩な響きと豊かな情景が詰まった小曲集になっています。 ピアノ曲ですが、オーケストラの響きを想定して書かれたんじゃないかと感じるところがいくつもあり、面白いです。アイディア次第で演奏の可能性がたくさんある、やりがいのある曲だなぁと思います。

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No.18は、メヌエット、ト長調。

レーソラシドレーソッソ、のおそらく世界で一番有名なメヌエットです。

この曲は、バッハが奥さんのために編纂した「アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帖」の中に、作曲者の名前を伏せて収められていました。 そのため長らくバッハの作曲だと考えられてきましたが、近年の研究で、作曲したのはクリスティアン・ペツォールトだということがわかってきました。バッハと同じく、オルガン奏者で作曲家だったペツォールトの作品を、バッハがアンナの練習のために書き写した、ということのようです。

ペツォールトは、このト長調のメヌエットと、同じく「アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帖」に収められているト短調のメヌエット(これもペツォールトの作曲です)以外には現在受容されている曲はほとんどありません。しかし、バッハが書き留めていたおかげで、その2曲が世界中で演奏されているというのは、なんだかすごいことです。

天国のペツォールトが知ったら、きっと驚くことだろうなと思います^^

難易度的には、小学校低学年〜中学年くらいでしょうか。先生としては、バロック音楽に親しんでいく時の、その入り口の曲として、とても重宝しています。

ちなみに、ト短調のメヌエット(ペツォールト作曲)はこちら。

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No.19は、今回はシューマンの「こどもの情景」より、「重大な出来事」。

シューマンの「こどもの情景」は、後年に書かれた「こどものためのアルバム」とは趣旨が違い、こどものために書かれた曲ではなく、子ども心を描いた大人のための作品であるため、テクニック的、音楽的に難しい曲も入っています。

一番有名なのは、第7曲の「トロイメライ」。 全部で13曲あり、第1曲から最後の「詩人は語る」まで通して弾くと、なんとも懐かしいような、しみじみとした子どもの頃の景色が浮かび上がるわけですが、この「重大な出来事」はその第6曲にあたります。

私は小学校3・4年生の時に弾いた思い出の曲です。 この曲も、ドビュッシーの「小さな黒人」と同じくらいインパクトがあって、弾いていた時のことをよく覚えています。

「こんなに無邪気に、大胆に弾いていいのか!」というような衝撃(笑)。あとは、王様の行列みたいな絵を思い浮かべながら弾いたりしていたことも覚えています。どっしりしていて、ちょっと威張っていて、怖いものなし、みたいなイメージ。

余談ですが、小さい頃は楽譜が語りかけてくること全部はわからなくても、色々なタイプの曲を、そして質の良い曲を、勉強するのがいいなと思います。

ドミソとシレソばっかりで、ちゃかちゃか楽しい!みたいな曲も悪くないですが、一度聴いただけじゃ何を言っているのかよくわからない、何度も弾いてやっと「あぁ」とわかってくるような曲に、私自身、育ててもらったところがあると思うからです。

シューマンの「こどもの情景」にも、グリーグの「抒情小曲集」にも、育ててもらったなと思います。こういうところが、音楽が情操教育とされる所以なんだろうなと勝手に思っています。

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No.20は、チューリップのラインダンス。作曲は平吉毅州さんです。

クラシックというよりは、少しポピュラー&ジャズっぽい雰囲気の曲で、発表会などでよく弾かれる人気曲です。

楽譜を見ると一見単純で簡単そうに見えるのですが、音にしてみるとおしゃれな和音とかっこいいリズムが満載の展開になっており、何度聴いても飽きない名曲だなぁと思います。

そうそう。名曲って何度聴いても飽きないのです。 もう何十回も聴いて、先の展開がわかりきってても、世界に引き込まれてしまって、感動が色褪せない。 生徒に曲を与えるとき、おそらくその曲と何ヶ月も付き合うことになるのだから、そんな風に飽きずに楽しめる曲を与えられたらいいな、と思いつつ選曲しています☆

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