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子どものための素敵な小曲 No.21〜No.25


今回はブルクミュラー「25の練習曲」の特集です。

ピアノを習っている人がほぼ必ず通過する、ブルクミュラーの「25の練習曲」。

作曲されたのは今から200年くらい前になりますが、今もピアノ学習のスタンダード

となっているのは、基礎的なテクニックと音楽的な要素がギュッと詰まっているからだと思います。

25曲の中から5曲、ピックアップしました。

練習曲ではありますが、発表会でも映える楽しい曲ばかり。

まだ弾いてない方はこれからのお楽しみに、昔弾いた方は聴いて思い出して

懐かしんでもらえたらと思います^^

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No.21は、アラベスク。

アラベスク、というとドビュッシーやシューマンの、

右手と左手が絡み合う細かく複雑な模様の感じを思い出しますが、

ブルクミュラーのアラベスクはそれに比べると雰囲気がだいぶ違います。

ザッザッと和音を刻む左手、16分音符で軽やかに上行する右手、カーンと響くアクセント。

一度聴いたら覚えてしまうくらいインパクトのある曲で、

言いたいことがとてもはっきりしていて、直線的。

弾く側としても、やることがはっきりしているので、演奏はしやすいです。

微妙な間合いや、柔らかなフレージングを必要とする箇所がほぼ無いので、

生徒にも教えやすく、曲として形にしやすく、教材として本当に優れていると思います。

この曲で是非、16分音符とその弾き方(手首のローリング)に慣れてほしいです^^

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No.22は、狩。

拍子は8分の6拍子。

出だしは狩りを始める角笛の音が、段々と近づいてくるところから始まります。

舞台は森の中かな?馬に乗った青年たちが、颯爽と姿を現します。

(注:個人的なイメージです^^;)

前半は楽しげな狩の様子でしょうか。中間部は打って変わってdolente(悲しげに)の指示があります。

レッスンで「何が起こったと思う?」と生徒に問いかけると、獲物がうまく取れなかったとか、

動物が死んじゃって悲しいとか、色々な答えが返ってくるところです。

正解はありませんが、ああかなこうかなと考えることが、楽譜から音楽を読み取る良い練習になります。

その後また楽しげな狩の様子が繰り返され、最後は段々と角笛の音が遠のいていって終わります。

なかなか、ストーリー性に溢れた良曲で、さらに右手の跳躍などのテクニックもつく、

一石二鳥にも三鳥にもなる、優れた作品です。

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No.23は、シュタイヤー舞曲(アルプス地方の踊り)です。

ワルツのような3拍子ですが、もう少し田舎の民族舞曲のイメージ

(具体的には、おそらくレントラーという踊り)です。

こういう舞曲を弾く時に一番気を遣うのは、テンポやリズム。 例えば、曲中に短調のところが出てきて、ここは悲しい感じだなと思ったとしても、

その表現をやりすぎてはいけません。

急に遅くしたりリズムを伸ばしたりして、本当に悲しそうに弾けたとしても、

「これは舞曲ですよ。そんな演奏じゃ踊れません」という大先生の声が空から聞こえます。

「舞曲」の時はその枠をはみ出ない。踊れるテンポやリズムを保つこと。

(そうでないと舞曲ではなくなってしまう。)しかし、かといって機械のようにリズムを守るのも

ちょっと違う…。この辺のバランス感覚はなかなか難しく、面白いところでもあります。

ちなみに、舞曲というのは沢山あります。

ワルツもそうですし、メヌエットやサラバンド、ガヴォット、マズルカ、タランテラ…。

そんな舞曲を弾くための基礎として、テンポやリズムを保つことを、この曲で覚えてもらえたら

と思っています。

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No.24は、バラードです。

ブルクミュラーが生きていた19世紀でバラードといえば、

ショパンやリスト、ブラームスのバラードが有名です。

多種多様な楽想が物語風に展開され、特に、夢のような美しい楽想から激情的な終焉へと向かう

劇的な展開が特徴ですが、ブルクミュラーのこの「バラード」はそんなバラードの特徴をギュッと

短く簡単にして、小さな子でもその雰囲気を弾いて味わえるように考えられていると思います。

始めはピアノ(小さく)で、どこか不気味な感じ。中間部は転じて、甘く優しく柔らかく。

夢のようなメロディーに段々と陰りが出てきて、また始めの不気味なところへ戻ります。

ユニゾン(両手とも同じ音を弾くこと)でクライマックスを迎えたあとは、

全てが幻だったかのように消えていきます。

少ない音で空気感を作るのは難しいですが、色々イメージを膨らませて工夫できる曲です。

大作曲家のバラードを聴いてから弾いてみるのも、面白いかも知れません^^

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No.25は、貴婦人の乗馬。

今まで練習してきた24曲のテクニックの総集、という感じで、

スタッカートやスラー、装飾音や三連符など、色々出てきます。やることたくさん。

馬の「パッカパッカ」という、小気味の良いリズムが心地よく、楽しい気分にさせてくれます。

発表会でもよく弾かれる曲です。

この曲でブルクミュラーを卒業すると、その後は大体ソナチネやツェルニー30番に進みます^^

ここまで来ると、好きな曲や弾きたいと思う曲には自分の力だけでチャレンジすることも

できるようになっているのではないでしょうか?どうかな?

個人的には、ブルクミュラーまでは手とり足とり教えるけれど、

この辺からはできれば生徒主導で、先生は後からついていく感じで

レッスンできたらいいなと思っています。

色んな意味で、区切りの一曲です。

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