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子どものための素敵な小曲 No.26〜No.30


あけましておめでとうございます!

例年に漏れず、12月はクリスマス会に追われ

あっという間に年を越してしまいました。

2019年もどうなっていくのかまだわかりませんが、

忙しくても目一杯楽しんで、日々を過ごしていけたらと思っています。

さて今回は、今ちょうど2年生、3年生の生徒が弾いている曲を

紹介します。弾いてみたいなと思う曲があれば幸いです。

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No.26は、グルリットの「こども音楽会」より、「まじめになって」。

半音ずつ下がっていく左手の響きが、なんとも言えない悲しげな雰囲気を漂わせています。

短調の曲ですが、途中少し明るくなったりと、淡い色合いがグラデーションのように

少しずつ移り変わっていくところが、素敵だなぁと思っています。

原題は「Ernste Stunde」。ドイツ語です。直訳すると「深刻な時間」という意味になります。

何かこう、ふざけてはいられない状況になってしまって、静かに厳かに振る舞っている

小さな子どもの姿が見えるようです。

グルリットはドイツ、ロマン派の作曲家です。81歳で亡くなるまでの長い生涯で、

ピアノ学習者に役立つ小品をたくさん作曲しています。

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No.27は、またグルリットの「こども音楽会」より、「トロイメライ」。

トロイメライというとシューマンのトロイメライを思い出します。

トロイメライはドイツ語で、「夢」とか「夢見心地」といった意味です。

グルリットのトロイメライも甘くゆったりとした、まさに夢見心地です。

(演奏のテンポをもう少し遅くしてみても、いいかも知れません。)

終わりは、ちょっとショパン風に聞こえます。ショパン好きな人なら、ふふっと笑ってしまうのでは。

シューマンもショパンも、グルリットより10年先に生まれた、ロマン派の大作曲家です。

同時代を生きたグルリットは、ふたりのことをどんな風に感じていたのでしょうか…。

実際のことはわかりませんが、この曲は、大作曲家の名曲の雰囲気を小さなピアニスト達も

楽しめるようにエッセンスにして取り入れている、ような気がします。

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No.28は、カバレフスキーの「こどものためのピアノ小曲集」より、トッカティーナです。

トッカティーナというのは、小さなトッカータという意味。トッカータと言えば…。

いちばん有名なのはバッハのトッカータとフーガ、ニ短調でしょうか。

(タラリ〜鼻から牛乳〜のやつです)

即興的で技巧的な表現が特徴のトッカータ。 カバレフスキーのトッカティーナも、技巧的な作りになっています。

メロディーは左手で、右手の和音が左手を追いかける形になっていますが、

この右手、殆どが和音の第一転回形でできています。

(第一転回形…ドミラ、レファシ、ミソド等、下は鍵盤ひとつ、上は鍵盤ふたつを挟んで弾くような形。)

なので、右手はずっと手の形を固定したまま、弾く場所を平行移動していくと弾けてしまうという、

ちょっと面白い作品です。初めて譜面を見た時は、これで曲になるのか!とびっくりした覚えがあります。

こういう、ちょっと機械チックな手の運びはなんとなく現代っぽい感じがしますね。

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No.29は、モーツァルトのメヌエット。ヘ長調。

モーツァルトが6歳の時に作曲した曲です。

音数は少ないですが、モーツァルトらしさの滲み出ている曲だなぁと思います。

一曲を通して同じモチーフを使い続けていますが、和声や転調が工夫されていて単調にならず、

表情豊かになっているところ、6歳のモーツァルトの創意工夫とセンスの良さを感じさせます。

モーツァルトを演奏するのには独特の難しさがあって、それはただ単に音符を音にしただけじゃ

音楽にならないというか、スラーはあるのか、無いのか、4分音符は4分音符なんだけれども

どのくらいの長さの4分音符なのかとか、そういう本当に細かいアーティキュレーションを

大事にしないと、モーツァルトが喜んでくれるようには弾けない、と思うのです。

モーツァルトにならない。

好きなせいもあると思いますが、モーツァルトの曲のレッスンの時は、

非常にしつこい先生になります(苦笑)生徒の方はどうぞ覚悟してください(苦笑)

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No.30は、ベートーヴェンのメヌエット。ト長調。

元々は「6つのメヌエット」として、1795年にオーケストラ曲として作曲されたうちの一曲です。

このメヌエットはその第2番にあたります。

ベートーヴェンというと、髪を振り乱した怖い顔の肖像画のイメージがあります。運命交響曲などの

ベートーヴェンを代表する曲も、強い、激しい、厳しいイメージが多いです。

そんなベートーヴェンだから、この曲も英雄のように堂々と歌い出すのかと楽譜を見ると、

始めにp(ピアノ)の指示。穏やかな歌い出し。

弾いてみるとあれ、思ってたのと違う…柔らかで穏やかで、すごく素敵。

情熱的で激しい部分が目立つので、そこばかりが印象に残りがちですが

有名な悲愴ソナタの第2楽章のように、ベートーヴェンにはロマンチックというか、

とても穏やかで美しい一面があります。

他にも第24番のソナタ「テレーゼ」とか、30番のソナタとか、

是非色々な曲を聞いて、色々な顔のベートーヴェンを見ていただけたら幸いです。

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